今回は仮組み編です。スポークを組んでいく話です。
そして失敗もかなり多いです。暖かい目で見守って頂けると嬉しいです。
まずは作業を開始する前に、パーツの体重測定を行います。
測った結果とメーカー公称値は以下の通り。
スポークの計算値は、のむラボさんのショップブログにあるスポーク1mmあたりの重さという記事の中に出てくる計算式で算出してます。
〈フロント〉
・リム【TNI al22 20H】
公称値:380g 測定値:380g
・ハブ【NOVATEC A291SB-SL 20H】
公称値:60g 測定値:60g
・スポーク【DT コンペティション Φ2.0×1.8mm 黒 290mm 20本】
計算値:135g 測定値:130g
・ニップル【DT アルミニップル ターコイズブルー 20個】
公称値:不明 測定値:8g
・リムテープ【ベロプラグ(黄) 20個】
公称値:不明 測定値:5g
合計・・・583g(になる予定)
〈リア〉
・リム【TNI al22 24H】
公称値:380g 測定値:380g
・ハブ【NOVATEC F482SB-SL 24H】
公称値:228g 測定値:230g
・スポーク(左)【DT コンペティション Φ2.0×1.8mm 黒 296mm 12本】
計算値:83g 測定値:83g
・スポーク(右)【DT コンペティション Φ2.0×1.8mm 黒 282mm 12本】
計算値:79g 測定値:79g
・ニップル【DT アルミニップル ターコイズブルー 24個】
公称値:不明 測定値:8g
・リムテープ【ベロプラグ(黄) 24個】
公称値:不明 測定値:6g
合計・・・786g(になる予定)
この組み合わせで組むことができれば、前後セットで1369g!なかなかの軽さです。この組み合わせで組めればの話ですけど(大事なことなので2回)
モノ代も合計で約29000円しかかかっていません。
まさに安くて軽いホイールですね!
しかも、リムとハブは公称値ドンピシャです。手組のブログを読み漁り、結構バラつきがあるものだと思っていましたが今回のは良くも悪くもない普通の正常品でした。
体重測定を終えたところで、さっそく手組ホイールを組んでいきます。
最初はフロントのヨンヨン組 イタリアンからいきます。
ちなみにこれが人生初となる手組になります。
まずは組む際の基本から入ります。
1本適当に反ヌポークを通し、ハブを持って縦の状態にします。
で、反ヌポークを通したフランジとは反対側のフランジに注目してください。
床から垂直にすると分かると思いますが、2つのフランジの穴は同じ位置にはなく、位相が半穴分ずれています。
今回は4本組イタリアンなので、最初に通した反ヌポークを基準に、反対側のフランジの左の穴にヌポークを入れます。
こんな感じです。
これを左落としと言うそうです。
JIS組みをしたい場合、右落としになります。
なぜ最初にこれをやるのかというと、バルブまたぎを防止するためです。
バルブまたぎとは、スポークをクロスした真上にバルブが来てしまうことです。
クロスした真上にバルブがきてしまうと、組み方によってはスポークが邪魔して空気が入れられなくなります。(そして何よりカッコ悪い・・・らしい)
それを防止するための措置ということです。
ちなみに後輪でやるヨンロク組の場合は同じイタリアンでも右落としになります。
理由等を詳しく知りたい方はのむラボさんのブログを読むことをおすすめします(^_^;)
最初の左落としの2本ができたら、それぞれのフランジで隣の穴に向かってヌポーク、反ヌポーク、ヌポーク、反ヌポーク・・・・・・と交互に全ての穴にスポークを通します。
自分はこのやり方をしませんでしたが、最終的には交互に全てスポークを通すことになります。
もう一つ組む際の基本。
リム穴は左右交互に振られていて、一般的なリムの場合だとバルブ穴を真上にした時にバルブ穴の右隣のリム穴は奥側のフランジからスポークが入るようになっています。(一部例外のリムもあるそうなので注意です!)
左右交互なのでバルブ穴の左隣は手前側のフランジからスポークが入るようになってます。
リム穴の振りがどっちか分からなくなった場合はバルブ穴を基準に数えていくといいかもしれません。
・・・ここまで解説しておいてアレですが、いきなり失敗例を紹介します。
フロント ヨンヨン組 イタリアンを左落としではなく誤って右落としで組んだ場合こうなります。
バルブまたぎが発生しています。
本来であれば、この位置にバルブがないといけないです。
あとからも書きますが、組んだ後にこの事に気づき、直そうとも思いましたが再びやるのは手間ですし一応運用上問題はないことからそのままにしました。
説明しやすいのでこの写真を使ってもう少し説明します。(左落としには失敗してますが、それ以外は全て問題なく組めてます)
ヨンヨン組でもヨンロク組でも共通して言えることは、4つのスポークがセットということ。赤で囲った部分がそう。
この1セットさえ組めれば、あとは全て同じことを繰り返すだけになります。
そしてイタリアンの場合ヌポークが緑の場所に来るのも特徴です。緑じゃない部分は反ヌポークです。
とりあえず、以上の事を踏まえて組んでいきます!
タンジェント組なので、もちろんスポークをクロスさせる訳ですが、こんな感じにヌポーク・反ヌポークを交差させます。
交差させるとめちゃくちゃ圧力がかかり、スポークがたわむので折れないかと心配になります…
でもそういう風に扱えるよう作られているので折れることは無いようです。
(こんなにグニャグニャになっても大丈夫なのか…と驚かされました)
注意!ここから思いっきり失敗していきます!参考にはしないようお願いしますm(_ _)m
スポークをクロスさせてニップルでリムに固定して、最初の1セットができた~
同じように作っていくけど・・・あれれ?スポークが届かなくなったぞー??
何回やり直しても届かない・・・
一体なぜなんだ。
師匠に相談してみる。
もしかしてスポーク発注する時のERD間違ってた・・・?
それじゃ絶対届かない、と師匠からの返答。
まじか( *o* )
仕方ない、このままでは先に進めないので新しいスポークを買うことに。
正しいERDでスポーク長を計算し直し、フロント294mm・リア左299mm・リア右285mmと出た。
もうこれ以上お金が出せないから、DTコンペよりグレードを落としてDTチャンピオンにしよう・・・。重量も多少増えるがしょうがない。
すぐに入手したかったので手組パーツを扱ってるお店、フクイサイクルさんに問い合わせ。
するとチャンピオンシルバーなら対応サイズの在庫ありとの事。
ダッシュで買ってきました。
じゃじゃん!
すぐに重さを測る。
重さの変化はこんな感じになった。
フロント・・・150g(コンペだと130g)
リア左・・・95g(コンペだと83g)
リア右・・・90g(コンペだと79g)
重量アップですが目をつぶります。(つぶりたくないけど)
初めて手組をやる時はこういう事があるから、安いスポークを選んでおいた方が良かったりするんですよね~……( ̄▽ ̄;)
気を取り直して作業再開。
(実はこの時点でもまだ間違えてます)
・・・あれ?またスポークが届かなくなった・・・
おかしいな、長さは合ってるはずなのに。
組む順番を変えてみよう。
あれ・・・また届かない。
もう1回やり直してみよう。
・・・・・・まーたダメだ!
どうしても最後の3本が届かない。
師匠から色々ヒントをもらう。
・・・が、気がついたらもう夜の10時になってしまった。(朝から作業してコレです…)
目標はこの日のうちに前後輪完成させるというものだったが、まだフロントのスポークすら全て通せていない・・・(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
とりあえず明日の自分に託すことに。
そして翌日・・・(8/26(日)の話です)
朝ご飯を食べながら作業開始。
残り3本になり、1本がなんとか入って残り2本!
初めてここまで進んだ。今回はいける気がする!
しかし、やっぱり届かなくなる。
限界まで伸ばしてこれです・・・全く届く気がしない。
もしかしてクロスした圧力でハブがねじれ、そのせいで入らなくなってるのか?
ニップルがこんな感じで飛び出てるのもなんかおかしいし・・・。
だとすれば、既に通したほかのスポークのテンションをかけてねじれを修正させれば入るかも??(先に言っておきますがこれは間違いです)
既に通したスポークのニップルを回し、テンションをかけてみる。
するとカーン!という甲高い音と共に耐えきれなくなったスポークがニップルから弾け出た。
び、びっくりした~・・・
やっぱりダメだ・・・これでダメなら、もう無理だ・・・
ドッキリ系ハプニングで完全に心がへし折られ、意気消沈。
師匠にもう無理です・・・と半ば諦めの連絡。
それで無理なら、ラジアルしか組めないぞ!と師匠からの叱咤激励。
確かにその通りだな~・・・と頭の中で思う。
そしてその言葉で火が付き、やはり諦めきれずに作業を再開。
すると・・・なんと!!
スポークが全て届いたではありませんか!!!
全てのスポークが通った瞬間、師匠から言われていたアドバイスの意味をようやく理解した。
反ヌポークから入れないとダメ・・・。
つまりこういうことです。
スポークをクロスさせる際、先に反ヌポークを取り付けて、あとからヌポークを交差させて取り付けるという順序でスポークを通さないと、クロスさせた時にねじれが発生し、今回失敗した事象のようにスポークが届かなくなるということである。(反ヌポークを取り付けてヌポークを交差させるという順序をとれば、クロスした際のねじれが相殺され、普通にスポークが届くようになる。)
このやり方をしたらご覧の通り、最後の1本は余裕で届きました。
このことを理解せず、今までヌポークを付けてから反ヌポークを交差させてました。だからスポークが届かなかったようです。(黒コンペのスポーク届かない事象は本当にスポーク長が短かったという原因もあります)
いい勉強になりました、ありがとうございましたm(_ _)m
※数年後に追記。
先にヌポークもしくは反ヌポークを入れるというのは誤りで、別にどっちでも大丈夫です。
この記事の手組を始めたばかりの頃のただの勘違いでした。誤った情報を載せてすみません…m(_ _)m
これで失敗談の紹介は終わりです。
スポークが全て通った所で、お次はいよいよ振れ取り作業に入ります。
次回に続く。