今回は手組のハブに使っているシールドベアリングを初めて自分で打ち替えたお話になります。
まずは事の経緯を説明します。
今年は自分で初めて組んだ手組「斑鳩1号」を使ってブルベに挑み、見事SR認定を達成しました。
中でも最後に走ったブルベ、あおばスーパー400麦草が凄い大雨でして…(概要はこの記事の通りになります)
この大雨の400kmを走ったあと、雨水浸入によって中が錆びてしまったせいか、斑鳩1号のリアホイールの回転がすごく渋くなってしまいました。
これがそのリアホイールです。
ハブを指で回そうとしても、固くて一切回りません。
このホイールを今後も使い続けていくことを考えると、下記のいずれかの対応が必要になってきます。
①ハブを新しく購入して取替する。
②ハブに使っているシールドベアリングを打ち替える。
①はお金がかかるし、錆びて使えなくなるたびに購入をしているとどんどんハブだけが増えていってしまいます。
②なら数百円で売られているシールドベアリングを買って打ち替えることさえできれば、安上がりでハブを使い続けることができます。
そのため、私は②を選ぶことにしました。
しかし、②を行おうとすると、シールドベアリングを打ち替えるための専用工具が必要となってきます。
専用工具とは、既にハブシェル内に圧入されたシールドベアリングを抜くためのプーリー抜き(ギヤプーラー等色々名称はあるそうです)、そして新品のシールドベアリングを打ち込むための圧入工具のことです。
斑鳩1号のリアホイールに使用しているハブはNOVATECのF482SB-SLというハブなのですが、Y○uTubeに海外の人がこのハブの分解組み立ての手順を解説している動画があり、それを見てプーリー抜きは必要無いと判断しました。
ただし、圧入工具の方はこれが無いとどうやっても圧入できないため、とりあえずこれを手に入れることにします。
色々調べてみると、ホームセンターで揃えた道具で圧入工具を自作して使っておられる人が結構いるようです。
そこで私も色んなブログを参考にして圧入工具を製作することにしました。
今後もシールドベアリングを使っているハブを使い続けるのならば、自分で打ち替えする技術も身につけないといけないですしね!
そういうわけで試行錯誤を繰り返し、ホームセンターにも2回くらい訪れて、ようやく完成した圧入工具がこちら!シールドベアリング圧入専用工具・ベアリンくんです。
今回はF482SB-SLのハブシャフトの径に合わせて作っていますが、M10の寸切りボルトにナット×2、ワッシャを何枚か用意。茶色の円筒状の部品はホームセンターの水道管コーナーに置いてあった今回必要としていた寸法にピッタリ合うパーツです。
ちなみにこれらの部品は、実際にシールドベアリングを圧入しながら、ハブシェルを反対側で固定しつつシールドベアリングだけをねじ込んで押すためにはどうすればいいか試行錯誤を重ねた結果揃った部品です。
なので、F482SB-SL以外のハブでは使えない可能性もあります(^_^;)
(実際にフロントハブのA291SB-SLはハブシャフトの径が小さすぎてこの寸切りボルトでは入りません。そのため、自作工具の場合は色んなサイズ・形状のハブに合うように用意するのがいいと思われます。)
なお、クイックリリースを使って圧入するという方法もありましたが、今回試してみた結果、非採用となりました(笑)
こうして専用工具を製作し、自分でシールドベアリングを打ち替えるに至ったのでした。
あ、あと、ベアリングを打ち替えたらそのまま斑鳩1号として復活はせず、リム・スポークを変更して斑鳩3号、つまり3rdホイールにバージョンアップするつもりでいます。
超軽量・高剛性という方向性でいえば、斑鳩1号は今既にある斑鳩2号【改】の劣化でしかありませんので、また別の方向性のホイールを作ることにしたのです。(3rdホイールの概要については次回あたりの記事にて紹介する予定でいます(^_^;))
さて、ここからはF482SB-SLの分解・組み立て手順をメモがてら書き記していきます。
まずは5mmの六角レンチ×2を使ってカバーを外します。ここはフルクラムのレーシング3と全く同じです。六角のサイズも。
外せました。
外したら、その下に薄い黒色のカバーと金属のワッシャ?が入っているので、それも一緒に外します。
それらも外しました。金属のヤツは黒いカバーと一体物ではないので、紛失しないよう注意です。この時点で、圧入されたベアリングが見えます。
ちなみにハブ本体にはベアリングが2つ入っています。今見えているのは、そのうちの1つということです。
お次は反対側のカバーを外すのですが、最初にカバーを外したときみたいに5mmの六角レンチを2つ使って外すことができません。
そこで、ハブシャフト内に六角の溝が切ってあるので、そこにデカい六角をはめ込んで反対側のカバーを外します。
今家にある最も大きい六角レンチを入れてみますが、なんと、ブカブカで全然回すことができません(笑)
この六角の穴、本当にデカいです。
参考にした海外の分解組み立て解説動画では、11mmの六角レンチが必要と言っています。
11mmの六角レンチは家にないため、仕方ないのでホームセンターで買ってくることにします。
ホームセンターに着いて目的の物を探してみますが、11mmの六角レンチなんてものはどこにもなく、お店には10mmと12mmのどちらかしか置いていない……(汗)
とりあえず確実に作業が進められるようにするため、両方買っておきました(笑)
結局10mmが正解でした。これでハブシャフトにピッタリ合います。こうして反対側のカバーを外します。
カバーを外したあとの写真。
黒光りしているパーツは、ゴムのように弾力があるため、ダストシール…だと思われます。
この時点でフリーボディは外すことができるので、普通に引っ張り出して外します。
フリーボディが外れました。
ハブシャフトです。なんか茶色っぽいです(汗)
カラーもシャフトに付いているので、忘れずに外しておきます。
ここまできたら、あとは圧入されたベアリングを叩き出すだけです。
解説動画ではハンマーで叩き出していたため、自分も同じようにハンマーでシャフトを叩き、ベアリングを叩き出してみます。
ガン! ガン! ガン!
・・・・・・・・・・
全然外れません。
動画では結構簡単に外れていたので、すんなりいくかと思っていたのですが、そうもいかないようです。(過酷な環境下でずっと使ってきたんだし、そりゃそうか…)
ホイールが組まれた状態ではスポークが衝撃を吸収し、うまくハブシャフトピンポイントに力を与えられないため、スポークを全て取り外すことにします。(どのみち組み直す訳だし、最初からバラバラにすべきでした)
ということでスポーク取り外し中。
スポークが全て外れて、ハブ単体になりました。(反フリー側)
フリー側。ベアリングも見えます。
反フリー側のベアリングから取り出すため、シャフトが突き出ているフリー側をハンマーで叩いていきます。
ガン!! ガン!! ガン!!
・・・・・・・・・・・
全然外れません。
ハブを手で抑えてやっていますが、ハンマーの衝撃で手が痛くなってきます。
手にタオルを巻いて、容赦なく思いっきり叩いていきます。
ガン!!! ガン!!! ガン!!!
・・・・・・・・・・
全然外れません。
いくら叩いても、出てくる気配がありません。
こういう固着しているようなものは、今までの経験からすると、やり方を工夫してさらに大きな力を加えることができれば、先に進めることができると学びました。
ハブを持ってハンマーで殴っているだけじゃ力が足りない・・・。
より大きな力を加えるにはどうすればいいだろう・・・?
思考を巡らせ、ついにその方法を思いつきました。
ハブを手で握って、シャフト側を思いっきり床に叩き付ける方法です(笑)
この方法ならば、ハンマーで叩くよりも大きな力を与えられます。
乱暴に見えますが、やってることとしてはハンマーで殴るのと要は同じことです(^_^;)
こうして、力いっぱい床にシャフトを叩きつけ、強力な連続打撃を加えます。
ガン!!!! ガン!!!! ガン!!!!
・・・・・・・・・・・・
外れました!!!(実は上の写真でも既に外れているという…)
次は反フリー側のベアリングを外します。
解説動画と同じように、ハブシャフトを一旦抜いて逆向きにして挿入します。(↓は抜いた状態)
↓逆向きにしてまた挿入した図。
さっきと同じ要領で床に全力で叩きつけ、こちらも外すことができました。
こうしてハブ内にある2つのベアリングが外せました。
回転させてみると、手前の6802-2RSというベアリングがゴリゴリになっていました。
奥側の15267-2RSというベアリングは回転させてもスルスルで全く問題なさそうです。
そういうわけで、名古屋某所にて全く同じ型の6802-2RSを入手し、ゴリゴリになってる6802-2RSだけを取り替えることにしました。
一旦綺麗に並べてみました。
さあここからいよいよベアリンくんの出番です。
シールドベアリングを圧入する際、傾いた状態(真っ直ぐでない状態)で圧入してしまうとオワリなので、ハブシャフトをうまく使って真っ直ぐ圧入できるよう工夫します。
反フリー側から圧入し、次にフリー側を圧入しました。
フリー側の圧入してる様子。両側にナットを配置し、スパナとかモンキーとかでナットを回して圧入していきます。
…初めての圧入は不安で不安で、ホントに大丈夫か!?ホントに大丈夫なのか!?と何度も少し締めたらナットを緩めて確認という行為を繰り返していました(^_^;)
こうしてなんとか無事ベアリングの圧入が完了!ハブシャフトを揺さぶってみてもガタがないので、奥まで挿入できたと判断しました。
グリスを塗りたくって、分解した時と逆の手順で組み立てたら今回の作業終了です。
こうして無事シールドベアリングを自分で打ち替える技術を習得したのでした。
おしまい。